第一紀成語編7:主語定義
今回はヒュムノス語にある特殊な表現「主語定義」についてです。 想音がない一人称以外の文章や、文章内の二つ目の主語に使用します。
主語定義を使う場面
第一紀成語編2で触れましたが、想音がついているヒュムノス語(第一紀成語)の主語は必ず「私」です。しかし想音なしの文章の主語が「私」以外の場合や、動詞の対象が文章になっていてそこに主語が含まれる際、rreという「主語定義」という特殊な単語が使われます。
代名詞にはこのrreの意味があらかじめ含まれた単語が存在するので、代名詞が主語の場合は基本的にはそちらを使います。
せっかくなのでまずはあげる機会を逃した代名詞一覧をあげます。
mea 私
mean 私たち
yor あなた
yora あなたたち
hes 彼
hers 彼ら
has 彼女
hars 彼女ら
そしてこちらが代名詞の主語定義です。
merra 私たち(は)
yorr あなた(は)
yorra あなたたち(は)
herr 彼(は)
herra 彼ら(は)
harr 彼女(は)
harra 彼女ら(は)
明確に主語が指定されていない文は「私」が主語になるので、meaの主語定義は存在しません。
主語定義を使った想音なしの文章
想音なしの文章の場合、主語は先頭に持っていきます。そしてその主語は「主語定義」されたものでなければなりません。当然、この文章に魔法としての効果はありません。
Yorr nille mea.
あなたは私に似ている。
nille(似る)
Rre papana zarle dor.
雨は大地へ降り注ぐ。
rre(主語定義) / zarle(雨) / dor(大地)
想音なしの文章で主語が「私」の場合は、主語定義をつかわずにmeaのみを使います。
Mea nille yor.
私はあなたに似ている。
想音がなければこのように「私」以外の主語でも文章が作れます。
主語定義を目的語の部分などに使う
たとえば「私はあなたが走るのを見る」という文章は「私は見る」と「あなたが走る」という部分に分かれています。そして「あなたが走る」は「見る」の対象です。
このように動詞の対象は文になっていることがあります。その時、その文に主語にあたる部分が含まれる場合に主語定義を使うと、文章の意味がわかりやすくなるでしょう。
Fou i ga vit yorr rana.
私はあなたが走るのを見る。
Ma num ra ene harr wis revatail.
私は彼女がレーヴァテイルだと思う。
ene(思う) / harr(彼女【主語定義】) / wis(~である) / revatail(レーヴァテイル)
こちらもmeaの場合は主語定義は使わずそのままmeaのみを使います。
今回出てきた単語
アルファベット | 意味 |
---|---|
rre | (主語定義) |
merra | 私たち わたしたち 私達(主語定義) |
yorr | あなた 貴方 (主語定義) |
yorra | あなたたち 貴方たち 貴方達 (主語定義) |
herr | 彼(主語定義) |
herra | 彼ら(主語定義) |
harr | 彼女(主語定義) |
harra | 彼女ら(主語定義) |
nille | 似ている 類似 似る |
zarle | (雨が)降る 降り注ぐ |
dor | 大地 大陸 |
ene | 思う 感慨深くなる 【考える 分かる 理解する】 |
wis | ~である |
revatail | レーヴァテイル |
今回のメインは主語定義でした。
「想音なしの場合は『私』以外の主語が使える」というのは文章を紡ぐうえで重要です。
この性質を用いて物語形式の詩では語りの部分は想音なしでセリフの部分は想音ありということがよくあります。想音を使う場面、使わない場面を分けてみるのもよいでしょう。